構築会兵庫支部 平成28年度見学会の概要

 平成28年度の見学会は、総勢50名の皆さんに参加いただき、日本唯一の大工道具の博物館である「竹中大工道具館」と、近代土木遺産として高い歴史的・技術的価値を有する「湊川隧道」を、視察先のご厚意とご協力により見学しました。

 最初に訪れたのは、2014(平成26)年10月にオープンし、2016年日本建築学会作品選奨や神戸市都市デザイン賞(建築文化賞)など多数の受賞歴をもつ「竹中大工道具館」です。

 「ものづくりの精神を伝承する博物館」をコンセプトとし、天然の無垢材と木組みの技を用いた舟底天井や、淡路のいぶし瓦を使ったむくり屋根など、現代の建築技術と伝統の職人技が融合した建物そのものが、ものづくりの醍醐味を体感できる空間となっていました。

 今回は、施工に携わられた㈱竹中工務店の技術者にご案内いただき、建設当時の苦労や館内に散りばめられた様々な工夫について、熱を込めてお話しいただきました。

竹中1竹中2

 次に訪れた「湊川隧道」は、洪水を度々引き起こす湊川の付替えのため、1901(明治34)年に完成した日本初の近代河川トンネルで、当時としては世界最大規模の歴史的構造物です。

 断面は幅7.3m高さ7.6mの馬蹄形で、側壁と天井のアーチはレンガ造り、地山とトンネルの間には栗石が裏込め材として充填され、底面には切石が並べられています。安定かつ洗掘摩耗に強い構造であると同時に、重厚で幻想的な地下空間が印象的でした。

 今回は、当施設を管理・活用されている兵庫県神戸土木事務所の方々にご案内いただき、切石の並べ方やレンガ積みの工夫など、先人の高度な土木技術を味わうことができました。

湊川1湊川2

 

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